農業と花を愛でる。野菜と花に囲まれた暮らし。

地区組合員

荒井 三和さん

「私の一日は早いんだよ」そう元気いっぱいに話してくれた人こそ、今回主役の荒井三和さん。
いつもやさしい笑顔が印象的で、みんなから「三和さん」の愛称で呼ばれる人気者。

今も昔も
元気の源は「農業」

荒井さんは、南区簾舞で花や野菜を中心に生産しているが、驚くのはその品目の多さ。キャベツ、大根などの野菜からハスカップ、グズベリーなどの果実、更には最近人気のルバーブやワラビといった山菜も育てるなど品目はざっと30を超える。

「おかげさまで、旦那、息子、娘やたまに孫も来て手伝ってくれてね。だからこうやって続けることができるんだよ。」そう嬉しそうに話す荒井さんから思わず笑みがこぼれる。

荒井さん自身は平岸で生まれ、結婚を機に今の白川浄水場がある辺りで酪農を中心に営農していたが、1971年に今の住まいである簾舞に移った。当時は養豚と養鶏を営み、さまざまな農業団体や公的機関から表彰を受けるほどの良質な畜肉を生産していた。

そんな荒井さんの一日は忙しい。太陽が昇る前の朝3時には起床、4時には畑に出てその日出荷する野菜や花を収穫。そのほとんどを、JAさっぽろ生産者直売所「とれたてっこ南」に出荷している。多くの農産物を作るのは当然ながら並大抵のことではないが、当の本人は苦にならないと話す。「休む暇はないけど、農作業をしていたらお天道様にもあたって元気になるんだよね。60年以上も農業のある生活をしているから、さあ、明日も一日お天道様のもと働かなきゃって思うよ。」

荒井さんにとって農業は、まさに心と体の「よりどころ」といえる。

女性部南支部伝統の
「梅漬け」

部員数319名を擁し、JAさっぽろの協力組織として大きな役割を果たしている女性部。最近では本部活動として取り組む、南区「みなみの杜高等支援学校」での「漬物講座」講師として授業を展開。生徒たちへの伝統食継承に繋がっている。そしてこの講座開催のきっかけになったのが、南支部伝統の「梅漬け」だ。最盛期は800㎏もの生産を誇ったが、現在では200㎏程となっている。

「当時部員さんの庭先に植えてあった木から採れる梅があったのがきっかけだね。今みたいに何でもすぐ手に入る時代じゃなかったからね。作るのは大変だけど女性部のみんなと一緒に何かできるのが嬉しい。」そう楽しそうに話してくれた。

三和さんの
切り干し大根

荒井さんを語るうえで欠かせないのが、手作りの「切り干し大根」。炒め物にしてもポリッポリッとする肉厚の食感、大根特有の風味と甘みを感じられる。「とれたてっこ南」や女性部内でも人気の一品だ。

荒井さんが切り干し大根を作り始めて10年ほどになるが、今では「とれたてっこ南」に年間200袋程を出荷。使用する大根は200本程におよぶ。通常販売している切り干し大根より太めのせん切りにして、ペチカで乾燥させて作るのが荒井さん流。この時期は、晴天の日に天日干しすることも欠かせない。 「作り始めたきっかけは、販売できない規格外の太い大根がもったいないなあって気持ちから。太い大根だから運ぶのも大変だし、全部手で切るから力もいるよ。でも、スライサーで切るより、手で厚めに切る方が美味しいんだよ。切り干し大根は保存もできるし栄養価も高いから、たくさんの人が作ってくれたらいいね。」荒井さんの力強い言葉は、「贅沢とは何か」を改めて感じさせてくれる。

「今の夢は元気で働き続けること。大きな病気もせずにいられるのも大好きな畑仕事と女性部のおかげだね。これからもみんなで一緒に女性部を盛り上げていきたいな。」最後の最後までおだやかな表情で夢を語ってくれる荒井さんの姿は、農業と女性部を愛する幸福感に包まれていた。