「慈愛」─ 深い思いやりと優しさを象徴する葉牡丹。その花言葉に込められた想いを、草間花園は一輪一輪に託し、新しい年の「希望」と「平和」を多くの人々の心にそっと咲かせ続けている。
5代にわたる歴史と
切り花への革新的な転換
年の瀬が迫る十二月半ば、雪深い札幌新川は静寂に包まれていた。その中で、草間花園のハウスの葉牡丹はひときわ鮮やかな彩りを添えている。葉牡丹は厳しい寒さの中でも幾重にも葉を広げ、母のような優しさと、逆境にも負けない強さを感じさせる。
5代目の満さんはハウスの中を歩きながら、そっと葉牡丹の葉に手を添え、「この子たちは、寒さに耐えてこそ本当に美しくなるんです」とほほ笑む。その眼差しには花への深い愛情と、家業を革新してきた誇りが滲む。
草間花園の歴史は、3代前の曾祖父がリンゴ園から花屋へ転換したことに始まる。台風被害をきっかけに「美しさを届ける」道を選び、逆境を乗り越える柔軟な発想と挑戦心が今も受け継がれている。
満さんもまた、鉢花シクラメンの需要減という壁に直面し、新たな活路を模索。大阪の市場関係者や千葉の生産者の助言を受け、「切り花ハボタン」への転換を決意した。「不安も大きかったが、挑戦することで新しいご縁が生まれた」と振り返る。
切り花への転換は、鉢花の倍以上のマーケットと、航空便による鮮度保持という合理的な判断が背景にあった。今では7棟のハウスで年間約60万本を出荷する、国内トップの生産量を誇る葉牡丹生産者となったのだ。
「恋姿」の美しい紫は、アントシアニンによるもの。
「アートを飾る体験」
としての独自栽培技術
草間花園が大切にしているのは、単に美しい花を届けるだけでなく、「アートを飾る体験」を提供すること。丸葉の「晴姿」「恋姿」を中心とした〈クラシック〉ラインは、和の空間から洋のしつらえまで調和する柔らかな美しさを持つ。
一方、〈空想幻花〉シリーズは葛飾北斎の世界観を模し、特殊な染色で現代アートのような存在感を放つ。若年層やモダンな空間を好む顧客からも高い評価を得ている。
この独自の「アート」を支えるのが「ポット栽培(根域制限栽培)」だ。根の成長を制限することで、茎を細く引き締め、色づきや花持ちも良くなるため、ブーケやアレンジメントにも使いやすい。手間はかかるが、「最高の姿」を届けるために徹底した品質管理を行なっている。
良運の地から届ける
「愛を包む」約束と三方よし
葉牡丹の需要期は12月中旬から下旬にかけてであり、松や千両と並び、年末年始を彩る代表的な縁起物とされている。札幌の街並みは京都を模範としたとも言われ、風水における理想的な『四神相応』の地形に似ているとの見方もある。
草間花園は、この縁起の良い札幌の良運の地で丹精込めて育てた葉牡丹を飾ることで、人々の新しい年に「幸福」と「良運」を届けたいと強く願っている。
実際に、切り花ハボタンの栽培を始めてからは、運気が舞い降りたかのように、様々なお客さまや市場関係者との新たな繋がりが生まれているという。
草間花園が目指すのは、持続可能な発展のための「三方よし」の商品作りである。約60万本という安定した生産量を維持・拡大し、効率化によってコストを下げることで、生産者である草間花園、市場・販売店、そして消費者、関わるすべての方が喜べる仕組みを構築している。これは、花言葉である「慈愛」の精神が、ビジネスにおいても実現されている姿だ。
そんな想いの詰まった葉牡丹を、家庭ではどう楽しめばよいのか。「家庭で葉牡丹を楽しむなら、他の花材と合わせたブーケはもちろん、小さな薔薇のような美しい姿を活かした一本挿しもおすすめですね」と満さんは話してくれた。
水に差しておくだけで根が出てくるほど丈夫で、長く美しい姿を楽しめるのも葉牡丹の大きな魅力である。厳寒に耐えて咲くこの花は、飾る人の心にも静かなる強さと温かさを届けてくれるだろう。
そして、「慈愛」「愛を包む」「平和」──この葉牡丹が、新しい年の門出に、皆さまの暮らしに静かな幸せと良運を運んでくれますように。








